社長からのSOSで緊急出動!その2

今回の研修で誰が何を学ぶのか

社長のSOSは、自分自身がTOC研修を体験したことによって発信されたもの。

自分自身に大きな気付きがあり、この気づきを社員全員に持ってもらいたい。
そんな思いからの研修依頼だった。
しかし、気付く事になったのは最終的に誰だったのか?

本当に深い研修。

経営者じゃないから分る訳ねぇべ

70名の従業員全体が顔を見合わせながらTOC研修を進めていくと現場の行動が手に取るようにわかってきた。

このTOC研修と言うのは簡単に説明すると、材料投入から出荷までの作業行程をダイスの出目とコインの移動によって仮想体験し、作業の中にある制約資源(ボトルネック)がどのような影響を及ぼすのか、また、どうやって対処して行くのかをプレイヤー全員が考えるシミュレーションゲームである。

ゲームは第5ゲームまでを2日間を使って行い、ゲーム終了後は実際の会社の業務フローを皆んなで作成し業務の中のボトルネックを特定して行く。

この作業の工程の仮想体験を自分自身に置き換えたり、自社の工程やシステムの流れに置き換えられるような思考をプレイヤー全員が手に入れること(気づく)こそが最終目標だと私は思っている。

ルールも少しずつ理解してきた2ゲーム目、残業しても納品できなかった場合にお客様からの信用を失った証拠として納期割れした個数と同数の赤いチップが第6行程(営業所)前に溜まって行く事を説明しても中々理解できない。

残業出荷したにも関わらず赤チップがどんどん増えていく。

「残業出荷出来た時点でお客様には迷惑がかからない事になるので、赤チップは元のケースに戻してください。」と説明した時、一人の女性がボソッと呟いた。

「おら経営者でねぇもの分る訳ね〜べ」

脳天に踵蹴り、正面打ちに迎え突き、を食らった思いになった。

言葉の表面だけさらうと「この研修に意味があるのか?」と言う疑念の言葉にも聞こえるが、
この言葉にはもっと現場の深い意味が凝縮している。

現場は一生懸命やってるのに納期が間に合わない現実。

残業して会社には迷惑を掛けてるが、お客様にどう影響が及んでいるのかまでは知り得ない事実。

残業して出荷としても何処かに残業したという不満感の跡(赤チップとして)が残る現実。

まだまだたくさん潜む現場の声の集約がこの一言ではないかと・・・

まずは自分、だが、それだけでいいのか

TOC研修で業務の6工程をシミュレーションする時、隣の人(前工程・後工程・工場全般)のことがどれくらい気になるだろうか。

MG研修でも体感できるように、最初は自分の会社のことだけが気になり、少しずつ隣の人が見え始め、更にその市場が見えて、最後には業界全体が気になって仕方なくなてくる。

TOC研修でも同じだ。
最初はルールを覚えるのが精いっぱい、次に自分の出目が良かったか悪かったかで一喜一憂、そのあと制約資源の事が気になって仕方がなくなり、更に自分たちの工程として残業するかどうか、納期割れのないようにどう動くかと考えられるようになる。最後は、次期の準備(適正在庫)も頭の中におかれるようになる。

研修を進めるうちに顔がだんだん上がって来るのは間違いないのだが、
研修前半戦では、研修を受けている者にとってそうなることは予想もできない。
概念に気づきそれが壊れる時、根っこにある思いが言葉として出てくる。

手をつないで感じるもの

生命の危機を感じる緊急事態にも共通して考えられることがある。

道を歩いていて目の前に生命の危機を感じるような傷病者を発見した場合あなたはどうするかだ。

生命の危機に瀕した人の救命の連鎖はあなたが発見したところから始まる。

早期通報、病人、けが人を発見したら先ず119通報する。
でも、知らない人だから通りすぎる、誰か通報してくれるだろうと傍観者になれば、そこで救命の連鎖は絶たれる。

応急手当、声掛け、心肺蘇生、AEDの搬送依頼と早期除細動の実施。
でも、応急手当の方法を知らないから…救急隊が来たら何とかしてくれる…と言って何もしなければ、命が助かったとしても後遺症が残ることもあるし、最悪救命連鎖は、救急隊が到着した時点で絶たれていることさえある。

二次救命処置、救急隊が発症の状況、受傷の受傷起点を把握し応急手当てをしながら迅速に医療機関に搬送する。
迅速に現状を把握し、可能な限り詳細に状況を説明できなければ、医師から適正な指示を受けられず有効な病院外の医療処置ができないかもしれない。

医療機関による心拍再開後の集中治療。
救急隊がどんな状況で、どんな処理をしてきたか把握できなければ、治療方針の決定に時間がかかり、傷病者の予後に影響するかもしれない。

早期通報、早期応急手当、早期救急処置、早期医療処置のそれぞれの輪が手を出し合いながら鎖となってこそ尊い命が救われるのだ。
それぞれの立場での行動が、先にどう繋がっていくか、どのように影響しあうのか手をつなぎ合いお互いの体温を感じることが本当に大切なことだと言える。

現在では、救命の連鎖の出発は、「病気の予防」とされている。
備えの重要さが火災だけではなく救急にも必要な時代となっているのだ。

人の命はお医者さんが助けるのではない。あなただ。

会社を動かしてるのは誰? あなただ。

そして顔を上げてみよう

救急の現場や災害発生などの緊急事態でも、そこに係る鎖が絡み合ってこそ目標が達成できるのは明白。

企業や工場においても然り。
各工程やチーム、セクションがそれぞれ頑張るだけでなく、互いを知り手をつなぐこと。
大きく言えば、経営する者とその会社で働くもの互いが自らを知り、相手を知り、体温を感じ、顔を上げた時、

その先にある将来の豊かで幸せな姿が形となると私は思う。

その3に続く

 

 

 

 

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投稿者プロフィール

kano
kano
かのさんこと鹿子澤浩美(カノコザワヒロミ)です。
緊急時に活用できるTOC理論をご紹介しています。
MGも緊急時の考え方に応用できないか研究しています。
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